業界情報

業界情報

会計事務所が行う中小企業経営支援-1

~書籍『会計事務所の経営支援-経営会計専門家の仕事-』(中央経済社)より~
同書籍プレゼント(先着100名様)については文末の案内をご覧ください


中小企業の経営者に最も身近な相談相手は顧問税理士・会計士

  経営者が経営課題について相談したいと思ったとき、まず誰に相談するか。近年のさまざまな調査によって、経営者の相談相手としての会計専門家の役割が明らかにされている。たとえば、野村総研の調査(注1)では、経営に関する知識を得る先として、1番目の相談相手は顧問税理士等の会計専門家である。また、事業承継に関する相談においても顧問税理士等の会計専門家が1番の相談相手となっている。

 メインバンクシステムとして知られるように、かつて中小企業経営者の相談相手は金融機関であった。しかし、日本経済が成熟しテクノロジーが発達したことによって、中小企業経営者とメインバンクとの日常的接触機会は長期的に減少してきた。

―中略― 

 それに対して、会計事務所は、規模の経済性を追求し効率化を進めるような動きから取り残されてきた。寡占化が著しく進んでいる監査市場とは対照的に、税務を中心とした会計事務所は全国に3万事務所弱ほど存在し、その多くは小規模事務所である。厳しい規制によって規模の拡大が制限されていたという経緯や、税務という経営者のプライベートな領域にも関わる繊細な業務であることもあって、会計事務所業界では手間暇のかかる業務慣行が続けられている。たとえば、多くの会計事務所では担当者が中小企業を毎月訪問する習慣が残っている。このような一見すると非効率的な業務が温存されてきたことによって、経営者と日常的に顔を合わせその悩みを聞く機会を会計事務所は有している。

 

 経営者に最も近い経営の専門家という立ち位置にあるのが会計事務所である。しかし、中小企業の現状をみる限り、会計事務所が中小企業の経営支援に十分に成功しているとは言いがたい。会計事務所が、本当の意味で経営者の相談相手となることで、顧客企業の成長・発展を支え、地域の雇用基盤を守り、それによって事務所自体の繁栄を実現する。そのためには、会計事務所の仕事を再定義する必要がある。

 

(注1)野村総合研究所『平成24年度 中小企業の事業承継に関する調査に係わる委託事業 作業報告書』2013年

 

会計事務所が行う中小企業経営支援-2へ続く

(記事:理事 吉永茂)

【書籍プレゼントのご案内】

当コラム(全7回シリーズ)は、書籍『会計事務所の経営支援-経営会計専門家の仕事-』第1章(序章に該当)の内容を、文書・図表等の一部を略し、web掲載用に再編集したものです。希望者には本編書籍を1所在地あたり1冊、無償でお届け致します(先着100名様限定・送料無料)。お届け先の郵便番号・所在地・事務所名(法人名)・部署名(必要な場合のみ)・氏名をEメールでお知らせ下さい。受付Eメールアドレスは、下記の通り一般社団法人コンサル技連(略称:CML)の代表アドレスです。Eメールの表題には【書籍希望】の文言を含めていただけると幸いです

なお、お寄せいただいた個人情報を含むお届け先情報は、当該書籍の発送のみに使用し、それ以外の目的には一切利用致しません。

受付Eメールアドレス→ cml@cml-g.com

【書籍概要】
タイトル等:『会計事務所の経営支援―経営会計専門家の仕事』(中央経済社)
定価/本体2,600円+税 256ページ

著者(共著):京都大学大学院経済学研究科 経営管理大学院教授 経済学博士
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)顧問 澤邉紀夫

公認会計士・税理士 京都大学経営管理大学院特命教授
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)代表理事 吉永茂

© 2019 SCC Inst.