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会計事務所が行う中小企業経営支援-2

~書籍『会計事務所の経営支援-経営会計専門家の仕事-』(中央経済社)より~
同書籍プレゼント(先着100名様)については文末の案内をご覧ください


中小企業の大廃業時代 

 1990年代後半には500万社以上存在した中小企業は、直近では350万社を割るまでになっている。また、中小企業経営者の高齢化が進んでおり、経営者年齢別にみると1995年には47歳であったピーク年齢が、2015年には66歳となっている。経営者の新陳代謝が進んでおらず、このままでは団塊世代経営者の引退とともに廃業する中小企業が大量に発生すると危惧されている。

 

 ゴーイング・コンサーンでる企業が、経営者の引退によって寿命が尽きてしまうのは奇妙な話である。もちろん主力製品の市場がライフサイクルの終焉を迎えることによって、企業がその寿命を終えることは珍しくない。企業率・廃業率ともに高い多産多死型のビジネスエコシステムであれば企業の寿命は人間の寿命よりも短くなる。しかし、100年以上の社歴を誇る企業が世界のなかでも多く、継続を美徳とする日本社会において中小企業が廃業を迫られるのはひとえに後継者がいないからである。親族内に後継者を見つけることが難しい主要な理由は、苦労の割に中小企業の経営者は報われない(と思われている)からである。

 

 その背景には、中小企業の利益率の低さがある。2014年のデータであるが、『中小企業白書』によれば大企業の経常利益率の平均が4.34%であるのに対して、中小企業は3.48%であり、その7割弱は赤字である。その一方で、規模は小さくとも高い利益率を誇る企業も少なくない。つまり多様性を特徴とする中小企業のなかには少数の高い利益率を実現している優良企業と、低い利益率のため事業継続に赤信号が点滅している多数の企業が存在する。

―中略―

 経常利益率は企業の稼ぐ力を示す指標であり、自己資本比率は企業の体力を財務的健全性という観点から示す指標である。体力も稼ぐ力も大企業に比べ劣っている中小企業が半分以上を占めるが、3割の中小企業は稼ぐ力で、5割近い中小企業が自己資本比率で示される体力で、大企業の平均よりも上である。

 

会計事務所が行う中小企業経営支援-3へ続く

(記事:理事 吉永茂)

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当コラム(全7回シリーズ)は、書籍『会計事務所の経営支援-経営会計専門家の仕事-』第1章(序章に該当)の内容を、文書・図表等の一部を略し、web掲載用に再編集したものです。希望者には本編書籍を1所在地あたり1冊、無償でお届け致します(先着100名様限定・送料無料)。お届け先の郵便番号・所在地・事務所名(法人名)・部署名(必要な場合のみ)・氏名をEメールでお知らせ下さい。受付Eメールアドレスは、下記の通り一般社団法人コンサル技連(略称:CML)の代表アドレスです。Eメールの表題には【書籍希望】の文言を含めていただけると幸いです

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【書籍概要】

タイトル等:『会計事務所の経営支援―経営会計専門家の仕事』(中央経済社)
定価/本体2,600円+税 256ページ

著者(共著):京都大学大学院経済学研究科 経営管理大学院教授 経済学博士
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)顧問 澤邉紀夫

公認会計士・税理士 京都大学経営管理大学院特命教授
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)代表理事 吉永茂

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