業界情報

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会計事務所が行う中小企業経営支援-6

~書籍『会計事務所の経営支援-経営会計専門家の仕事-』(中央経済社)より~
同書籍プレゼント(先着100名様)については文末の案内をご覧ください


日本の中小企業経営者が会計を軽視する背景

 「会計がわからないで経営ができるか」と述べたのは稲森和夫京セラ創業者名誉会長である。稲森名誉会長が指摘しているように、管理会計は中小企業にとっても有用だと理解すべきエビデンスが近年の研究によって蓄積されてきている。だとすると問題は、なぜ多くの中小企業において経営のために会計が活用されていないか、である。

-中略-

 ところが、日本では経営に会計が必要であることが十分に理解されていない。2017年の『中小企業白書』によれば、中小企業の半数が経営計画を策定したことがない。とくに高齢のベテラン経営者になればなるほど将来志向的に会計を活用して経営することを軽視する傾向がある。

 幸か不幸か、日本では高度成長期という会計的能力がビジネスパーソンにとってそれほど重要でない時代が続いた。今日、引退の時期を迎えている団塊世代の中小企業経営者の多くは、高度成長期の下で経営を体得してきた。「作れば売れる」という高度成長の下では、ことこつまじめに働けば結果はついてきた。とくに大企業の下請け企業の場合は、経営の根幹を自社で考える必要がなかった。経営は意思決定の連続であるが、基本的な意思決定問題は「誰に」「何を」「いくらで」「どれだけ」売るかである。下請け企業では、基本的意思決定問題はすべて大企業の方が判断していた。つまり、基本的なところで経営を考える必要がなかったのである。基本的な経営意思決定は大企業に委ね、その代わりに品質や納期、コストのコントロールに集中すればよかったのである。

 

会計事務所が行う中小企業経営支援-7へ続く

(記事:理事 吉永茂)

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当コラム(全7回シリーズ)は、書籍『会計事務所の経営支援-経営会計専門家の仕事-』第1章(序章に該当)の内容を、文書・図表等の一部を略し、web掲載用に再編集したものです。希望者には本編書籍を1所在地あたり1冊、無償でお届け致します(先着100名様限定・送料無料)。お届け先の郵便番号・所在地・事務所名(法人名)・部署名(必要な場合のみ)・氏名をEメールでお知らせ下さい。受付Eメールアドレスは、下記の通り一般社団法人コンサル技連(略称:CML)の代表アドレスです。Eメールの表題には【書籍希望】の文言を含めていただけると幸いです

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【書籍概要】

タイトル等:『会計事務所の経営支援―経営会計専門家の仕事』(中央経済社)
定価/本体2,600円+税 256ページ

著者(共著):京都大学大学院経済学研究科 経営管理大学院教授 経済学博士
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)顧問 澤邉紀夫

公認会計士・税理士 京都大学経営管理大学院特命教授
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)代表理事 吉永茂

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