業界情報
DX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めようと社長が一生懸命に旗振りをしても、現場の比較的ベテラン社員から反発意見が出ることはよくあることです。しかし多少の反発があったとしても、これまでと変わらないやり方を繰り返していたら会社の生産性は変わらないどころか、同業他社に後れをとってしまい、競争力の低い会社になってしまうこともあり得ます。社長がリーダーシップを発揮し、前に進めるべきです。
まず社長が最初に決めなければならないのは、いつまでにシステムを稼働させるかです。
家を建てる時でも、いつまでに入居するかということが決まれば、それまでに必要なことが見えてきます。いつまでに、設計の図面を仕上げる、クロスの色を決める、照明を入れるといったように細かなスケジュールを立て行動につなげていくことになります。
同じように、システムを導入するときもゴールを決めて計画をすることが必要です。システムを導入するのは業務効率化や利益アップといった目的のためです。なので、計画が早く進むほど会社にとってメリットがあります。
原価管理システムを導入する場合、もともと原価管理システムを使っていなかった会社であれば稼働させるまでに3~4ヶ月程度、既存のシステムを入れ替えるのであれば6カ月~1年程度が目安ですが会社の規模によって異なります。
システム稼働を目指す日付を決めたら、次は具体的にどのように進めていくのかをスケジュール化します。少し粗い例ですが次の通りとなります。
① システム化したい業務の分析
② 分析結果に基づく優先する業務範囲の選定
③ パッケージソフトウェアにおける運用イメージの確定
④ よく使う取引業者、社員、顧客(発注者)などの名簿の整理
⑤ パッケージソフトの導入
⑥ マスター(名簿)の登録
⑦ 並行(テスト)稼働
⑧ 本稼働
以上これらを行うためには、どのように誰が主体となって進めるのかをタイムラインにします。
会社全体の業務を見渡してみると、すぐにDXの効果が出そうな業務もあれば、そうではない業務もあるはずです。また、DXに前向きな部署と、後ろ向きの部署に分かれることも考えられます。
会社の現状を整理したうえで取り掛かりやすいところ、効果が出やすいところから始めるのが効果的です。私はシステム稼働のうまくいくポイントは、“小さく生んで大きく育てる”ことだと考えています。あれもこれも一気にやろうとせずに、まずはスモールスタートの意識でスタートすることが大切です。「工事を受注したら、原価管理システムに工事完成予定日・入金予定日を入力する」「日報を手書きではなくシステムでつけてもらう」といった単純なことでも構いません。
こうしてまずは少しでもシステムを使う利点を感じることで、他の業務や部署にもシステムを広めやすくなります。「この業務も効率化できそう」「うちもシステムを使って業務を自動化したい」といった前向きな気持ちが社内で生まれるよう、業務効率化を進めていくことが大切です。