業界情報

業界情報

建設業界における人事戦略

▶ 中小建設企業の多くは人材不足を課題としています。特に若年層の採用は非常に困難で、今後の企業の成長に大きく影響する可能性があります。将来を見据えた採用計画、webを含む広告展開、人材エージェントやソーシャルメディアの活用、選考・面接の実施方法、内定後のフォローなど各プロセスにおける着実な施策実施が望まれます。また、DXを推進した労働生産性向上、同業他社や他業種との連携強化、外国人労働者の積極的採用や女性労働力の活用も視野に入れるべきでしょう。

▶ まず具体例として挙げられるのは求人サイトの活用です。以下に挙げる一部事例ように業種特化された仕組みの活用が効率的です。

 「GATEN職」 https://gaten.info/media/
 「ジョブリー建設」 https://jobree.co.jp/
 「セコカンNEXT」 https://sekokan-next.worldcorp-jp.com/
 「ベスキャリ」 https://www.g-career.net/
 「建設・設備求人データベース」 https://plant.ten-navi.com/
 「ジョブケン」 https://jobken.jp/

これらサイトは事業者側からの視点のみではなく、建設業界でキャリアを積みたいと考えている求職者に対して多様な選択肢を提供しています。

▶ また、国土交通省が推進するCCUS(建設キャリアアップシステム)は、公共工事におけるインセンティブ措置を通じて企業に対する支援を行っており、建設業界の持続可能な発展と、技能者のキャリアアップを支える重要な基盤となっています。

▶ CCUSの活用は、人事戦略において大きなメリットをもたらします。例えば、正確な出面管理が可能になり、セキュリティレベルの向上と正確な人員把握が実現します。また、事業者は主要取引先や登録技能者の人数、平均勤続年数などの情報を一元管理し、採用面や事務作業の効率化を図ることが出来ます。また、これまで積み上げてきた実績や施工能力を客観的に証明することができ、技能者・施主・取引先に自社のストロングポイントをアピールすることが可能になります。

▶ 技能者にとっても、CCUSは大きな利点を持ちます。就業日数に基づく経験や保有資格が登録・蓄積されるため、公平・正当な評価を受けることができます。また、退職金制度である「建設業退職金共済制度(建退共)」を適切な金額で受け取ることが可能になります。スキルアップのための目標設定も容易になり、モチベーションの維持やスキル向上に役立ちます。

▶ CCUS活用は、経営事項審査における社会性評価の重要な要素ともなっています。経営事項審査では、CCUSを通じて技能者のレベルアップを図ることが評価され、特に過去3年間でレベルが1以上向上した技能者がいる場合、加点の対象となります。これにより、企業はより高い評価を受けることが可能となり、公共工事の入札において有利に働きます。

▶ 中小建設企業の人事戦略としては、当然ながら、単なる労働力確保の視点を脱し、従業者・求職者への中長期的なキャリアプランの提示、着実なキャリアアップへの貢献姿勢を経営方針として強く打ち出す必要があるでしょう。

© 2019 SCC Inst.