業界情報

業界情報

事業承継時の個人保証「二重取り」禁止へ

1.全国銀行協会と日本商工会議所は、12月24日に個人保証についての指針を来年4月に見直すと発表しました。見直しの内容は、経営者が代替わりした後でも金融機関が新旧の経営者に保証を求める「二重取り」を禁止するものです。
旧経営者の個人保証が事業承継後無くなれば、後継者への引き継ぎを決断しやすくなります。又、新経営者についても、金融機関は事業性の評価などを踏まえ、個人保証を求めないで済むかを柔軟に検討すべきものとされました。
連帯保証に依存せず、経営者の資質やビジネスモデルの優位性を見極める「目利き力」が金融機関により強く求められてくることになります。

2.しかし、上記のような変更があったとしても、金融機関から「保証なしにします」と提案が来るとは限りません。債務者(企業)側から金融機関に対し、「保証人を外して欲しい」と積極的に申し出る必要があります。
ご承知のように、経営者保証に関するガイドラインでは経営者保証の解除のためには以下の3つの条件が満たされる必要があります。
①.法人と個人の資産関係が明確に区分・分離されていること
②.企業に十分に返済する財務基盤があること
③.財務状況を適時・適切に開示する等経営の透明化が確保されていること

上記の個人保証の「二重取り」禁止により、中小企業の事業承継がより円滑に行われるようになることが期待されます。

(記事:理事 吉永茂)

© 2019 SCC Inst.