業界情報
1.国内建設投資の先行き懸念や東南アジア等の建設市場の成長への期待などから海外進出への関心は高まっているが、海外進出特有のリスクの大きさから実際に海外進出を行っている建設企業の割合は3%にも満たない。海外進出を確実に実施させるためには、以下の公的な支援を活用するのが得策である。
2.中小建設企業が活用できる海外展開支援施策
(1)中堅・中小建設業海外展開推進協議会(JASMOC)
平成29年6月に国土交通省の主導のもとに発足した協議会で、会員となることで以下①~③のサービスを受けることができる。
①海外進出事例紹介、②国交省等からの情報提供、③個別課題に関する勉強会への参加等
(申込先)国土交通省土地・建設産業局国際課
(2)独立行政法人国際協力機構(JICA)
(3)独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)
中小企業の主たる海外進出先(注1)にプラットフォームを設け、そこに各部野の専門家を置き、輸出や投資に関する個別相談や現地の関係機関や企業等の紹介や面談等への同席等きめ細かい支援を行っている。
(注1)インド、インドネシア、カンボジア、タイ、台湾、中国、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、米国、ブラジル、メキシコ、ドイツの15ヶ国
(4)中小企業庁
ポータルサイト「ミラサポ」の中の「海外支援」を通じて海外事業展開に関する補助金・助成金、専門家による助言等の提供を行っている。又、「中小企業国際化支援アドバイス事業」を利用することで、専門家による海外拠点の設置、輸出入、委託生産等についての助言を無料で受けることができる。
(5)中小企業基盤整備機構(中小機構)
経済産業省が所管する「中小機構」の海外進出支援に係るものとしては、以下①~④がある。
①海外の事業環境分析やビジネス・モデル分析についての専門家の指導事業
②海外進出事業の実現可能性の調査や海外事業計画策定の支援事業
③海外で開催される展示会への出展サポート事業
④海外展開管理者や実務者に対する研修事業
3.中小建設業が海外進出で成功するためには、①.現地の需要の見込み、②.現地での良質な人材確保、③.日系企業の成功事例の研究等を地道に行う必要があり、このためにも、上記の諸支援策を有効に活用することが欠かせない。
(記事:理事 吉永茂)